「絵」は世界共通の手紙。
2024.03.28
絵は手紙のようなもの!
受取ってくれる人がいるからこそ絵が存在しているのです。
「僕は、ただ『絵』が描きたいのではありません。自分の思いを発信する手段として、絵を通して、たくさんの人にメッセージを伝えたいなと思っています。」
小学2年生の時、自宅の前で交通事故にあい、頚髄損傷の完全四肢マヒとなった田中潤也さん。
周りの方など多くのサポートもあり、通っていた小学校に戻ることができたことは、本当に嬉しいことでした。
潤也さんが、口で絵を描くきっかけをくれたのは、小学4年生の時の先生です。
習字大会で初めて「友」という字を書きました!
「口で書いたら、下手や!とか、汚い!とか言われないかな…」
不安でいっぱいだった潤也さんをよそに、友達や先生は、目を輝かせながら「潤くん、すごいやん!」と喜んだり、口々に褒めてくれたりしました。
潤也さんに、書くことに挑戦する勇気が芽生えた瞬間です!
「みんなが喜んでくれて、すごくうれしかったのを覚えています。それまで、絵はそんなに好きではなかったけど、習字が書けたのなら、絵も描けるのではないかと思い、筆を口にしました。」
描きたいという意欲が溢れる日々
潤也さんは、人に伝えたいことを絵におこしていきます。
何かを伝えたいからこそ、「描きたい」という意欲が、どんどん溢れてくるのだそうです。
「絵を見て元気をもらえたよ。」「この絵に出合っていなければ、きっと生きていなかった。」
今までも、たくさんの方から嬉しいメッセージをいただきました。
「僕の生まれたまちは、目の前に海が広がり、沈む夕日がとてもきれいです。自然が豊かで、とにかく人が優しい。友達やご近所さん、親戚や学校の先生、みんなが親切で思いやりがあって、とても温かみのある地域です。そんな環境で育ったことも、今の制作につながっているのだと思います。」
潤也さんは笑顔で語ります。
まっすぐな想いと夢。
そんな、潤也さんの夢は、世界中に絵という手紙を伝えられる画家となり、さらには「口と足で描く芸術家協会」の会員(※)になって、47都道府県で個展を開催すること。
また、人と関わることが大好きなので、今後は、講演会なども積極的に行って行きたいそうです。
「たくさんの出会いや繋がり、時間を無駄にせず、1日1日を大切に生きたい。苦しくても、きっといいことはある。辛い思いや、しんどい思いをされている方に、僕の絵を見てもらって、少しでも元気になって欲しいと思います。」
そう語る、潤也さんの笑顔、言葉、まっすぐな想いは、絵となり、手紙となって、世界各国の方々を、きっと幸せにすることでしょう。
※世界72の国や地域に約750名の芸術家がおり、日本では会員4名、準会員2名、奨学金給費生16名の芸術家が自立を目指し活動しています。
母より。
事故に遭い、完全四肢マヒとなった息子ですが、地域の方々、先生、お友達、役場の人など、たくさんの方々が本当に良くしてくれました。
おかげで、潤也は、みんなと一緒に成長し、他のお子さんと同じように、子どもらしい生活を送ることができたのです。
もちろん、辛いこともたくさんありましたが、困ったら誰かがすぐに助けてくれました。
みなさんの支えのおかげで、悲観することなく、今でも家族みんなが笑顔で生きています。
もしも、大きな自治体や都市部だったら、こんなにも生き生きと暮らせたのかな…ふと考えることがあります。
まわりの環境や、人の優しさ、温かさに感謝し、これからも、潤也を応援し続けたいです。
取材:YUKA