みんなに喜んでもらいたい…まっすぐな想いから生まれた犬寄峠の桃源郷
2024.02.15
「花を見て、怒る人はいないでしょう?このような山間部にも、みんなが楽しくゆっくりと集える場所があれば、人が集まり地域が活性化するのではないかと思い、2012年から幸せをイメージする黄色い菜の花を植え始めたんです。」
黄色い丘の管理人、松浦さんは当時を振り返ります。
市内外からたくさんの人が訪れ、メディアにも多数取り上げられる人気スポットとなった犬寄峠の黄色い丘。
春には、平日でも千人以上の人が、フォトジェニックな景観を求めて、この犬寄峠を目指します。
広大な丘全体が、菜の花とミモザの黄色に染まる様は、まるで俗世間を離れた「桃源郷」のよう。
過疎高齢化が進むまちに、なんとか人を呼び込む仕掛けができないものかと、もとミカン畑だった耕作放棄地を開墾し花畑にしようと思いついた、松浦さんご夫妻。
地域の人に手伝ってもらいながら、草を刈って、菜の花の種をまき、一面の花畑にするまでには、丸2年かかりました。それからさらに10年かけて、1ヘクタールだった花畑を、2.5ヘクタールにまで広げました。花の種類も、少しずつ増やし、1年を通して来場者に喜んでもらえるよう、松浦さんは奔走します。
みんなが笑顔になる、シアワセの黄色い丘
春は、菜の花やミモザをはじめ、ミツマタや山吹など、幸せの黄色い花々が丘を埋め尽くします。
夏には、手が届きそうなほど満点の星空を堪能することができ、秋は、丘一面にコスモスが咲き誇ります。
また、松浦さんが飛来を期待して、アサギマダラの好むフジバカマの花を植えたところ毎年観察することができるようになり、蝶や写真愛好家には堪らない撮影スポットとなりました。
そして寒い冬にも、蝋梅の淡い黄色と、甘い香りが、訪れた人の心をほどきます。
ゆっくりと滞在して、非日常を楽しんでほしい。
「せっかく黄色い丘に来てくれても、ぐるりと散歩し、写真を撮ったら、すぐに帰ってしまわれる方が多いんです。本当は、丘の上でお弁当を広げたり、花に囲まれて入れたてのコーヒーを味わうなど、ゆっくりと滞在して、自然の中で過ごす『時間』を楽しんでいって欲しいんです。」
そんな思いから、松浦さんご夫妻は、黄色い丘で特産品を販売したり、期間限定で農家レストランをオープンしたり、こんにゃく作りやお餅つき、ヨガなど、様々な滞在型のイベントを企画してこられました。
また、4月からは毎月第1日曜日にマルシェを開催できるよう準備を進められています。
「春には、ヨモギや山菜を摘んで、お餅や天ぷらにしたり、タケノコを掘って、みんなで湯がいてもいい。夏は、ホタルや星空の観察を、秋には芋を掘ってグラタンを作るのも楽しいでしょう。」
松浦さんのアイデアはどんどん広がります。
そんな、バイタリティ溢れる松浦さんに、「夢」をお伺いしました。
「耕作放棄地を開墾して花畑を作りました。景観を良くするため、昨年は大きな木を切って整備もしました。地元の方が草刈りを手伝ってくれ、小学生が種まきをしてくれて、多くの人が訪れるこの丘は、今年も一面の黄色に染まります。夢とは少し違うかもしれませんが、この丘を引き継いでくれる後継者がいてくれたらいいなと思います。黄色い丘の活用方法やアイデアはどんどん出てきますが、それら全てを企画実行するのには、私たちは少し年を取りすぎたかな。」
松浦さんは、目を細めます。
過疎・高齢化のまちを元気にしたい。松浦さんの、そんなまっすぐな想いが年間、何万人もの人が訪れる黄色い丘を作り上げました。
その想いやストーリーに触れながら、ゆっくりと黄色い丘での時間を過ごしてみませんか。
取材:YUKA
PROFILE
名称 犬寄峠の黄色い丘
住所 愛媛県伊予市双海町上灘2058
お問い合わせ 080-5664-2327(松浦)
料金 無料
駐車場 あり(100台)
公式Facebook
※街灯などはありませんので、夜間の散策はお気を付けください。
※イベント等で利用する場合は、使用料1,000円いただきます。お気軽にご相談ください。
※ペット連れOKですが、フンの始末やリードを外さないなど、マナーを守って散歩してください。
※土日は混雑が予想されます。なるべく、土日をさけてゆっくりと黄色い丘をお楽しみください。
【2024年イベント情報】
イヨミモザまつり2024
2024年3月8日(金)・3月9日(土)10:00~15:00
お問合せ 090-4123-7689(黄色い丘のイヨミモザまつり実行委員会:逢沢)
イベント詳細 ▶コチラ