陶房 佐礼谷窯
2024.10.02
犬寄峠のトンネルを抜けたその先、山の方に向かって少し進んでいくと、自然の中に佇む佐礼谷窯が見えてきます。
南予出身で松山育ちのご主人が、一念発起で脱サラして開いた佐礼谷窯。
佐賀県の嬉野で2年間陶芸の修業を積んだご主人は、愛媛県に戻った際に知人の紹介で佐礼谷を訪れました。佐礼谷の自然と静かに作業できる環境、松山市や南予からのアクセスの良さなどを気に入り、この場所に陶房を開くことにしました。
遺志を受け継ぐ
残念ながらご主人は2023年に亡くなりましたが、弟子の寺岡さんが2代目を引き継ぎ、現在はご主人の奥さんとともに陶房を切り盛りしています。
「先代の作風、そして遺志を受け継いで、この佐礼谷窯を続けていくことが目標です」と、2代目は力強く語ります。
ここだけの新しい出会い
佐礼谷でとれる土は赤い色をしています。この赤土を他の土とブレンドすることで独特の味が出るようになります。またカップやお皿、茶碗など、作品の種類によってブレンドの比率を変えているとのこと。
試行錯誤の末にたどり着いたこだわりに、ものづくりに対する熱い思いが感じられました。
焼き物を作る上で欠かすことができないのが、窯です。佐礼谷窯には「登り窯」があります。
1年に1度、秋の窯開きの際にはこの窯を使って多くの作品を一気に焼成します。登り窯はガスや電気の安定した窯と違って、自然の炎で焼成するので少しの熱の違いで失敗することも。ただし自然の炎だからこそ、置く場所やその時の炎の強さによって色合いや風味が変わって、唯一無二の作品ができあがるとのことです。
似たものはできても、同じものができることはない。焼き物の面白いところの一つです。
陶房の中には、こうして作られた作品が並べられています。シンプルなものもあれば、桜やバラなどオシャレで可愛らしいものも多く、訪れた人の目を楽しませます。
実は佐礼谷窯の作品はどこにも卸しておらず、この陶房でのみの販売となっています。先代から続くポリシー、『実際に手に取っ見ていただきたい』という思いがあるからです。
「お客様が来てくださる度に新しい出会いを楽しんでいただけるよう、常に新しいものをつくるように心がけています」
手になじむ
最後に、作品を作る際のこだわりについてお聞きしました。
「実際に手に取った時の重さやサイズ感を大切にしていますね。重すぎず、そしてしっくりくる。そういった『手になじむこと』を意識して作っています。」
皆さんもぜひ佐礼谷窯を訪れ、作品を実際に手に取ってみてください。
コレだ!と思える、新しい出会いが待っていることでしょう。
取材:TAMA
2024年窯開きの情報はコチラ↓
10月19日(土) ~ 10月27日(日)
9:00 ~ 17:00
佐礼谷窯にて
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PROFILE
佐礼谷窯
愛媛県伊予市中山町佐礼谷丙1259-3
TEL:089-968-0657
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