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東大みかん愛好会がゆく ~④ますます、伊豫果園。編~

2026.06.03

東大みかん愛好会がゆく ~④ますます、伊豫果園。編~

「みかんをこよなく愛する」東京大学などの学生で結成された「東大みかん愛好会」。
およそ300人の学生が所属し、首都圏を中心に日々活動しています。

3月、「かんきつ王国」愛媛で、生産への理解を深める春の合宿を行い、伊予市内で収穫体験を行いました!
参加した5人の学生が、伊予市で感じたことを記事にしてくれましたので、ご紹介します!

4回目は「~ますます、伊豫果園。~」(取材:こんぽの)です!


「東大みかん愛好会」の伊予市への産地訪問で、私たちのグループは、伊豫果園・武智さんを訪問させていただきました。

元々農業に魅力を感じており、農業高校・農業大学校に進学され、JAでの営農指導員での経験の後、3年ほど前に専業農家として就農されたという、農業一筋の武智さん。

今回の訪問では、武智さんの農業にかける熱い思いを各所で感じられ、たくさんの学びを得られました。

以下、大長編になりましたが、伊豫果園さんの訪問記に、どうぞお付き合いください。

突然ですが、皆さんは「みかんの農作業」といえば、どんなものを思い浮かべますか?

おそらく、多くの方が「収穫」と答えるのではないかと思います。

私自身、過去の他の産地にも訪問経験はありましたが、収穫の「前」「後」両方の大事な作業を、今回初めて体験させていただきました。

午前中に行ったのは、「デコポン」でお馴染み「不知火(しらぬひ)」の選果作業。

みんな真剣・・・!

不知火は、収穫してすぐだとまだ酸が高いこともあり、しばらく貯蔵してから出荷されます。

「デコポン」の名称を使用するためには、「糖度が13度以上 ・クエン酸が1%以下 ・(全国の)JAから出荷」という条件を満たす必要があります。

愛媛県では、主に年明けに収穫して、1,2ヶ月ほど「サンテ」(詳しくは後述)に入れて貯蔵し、「選果」を経て、出荷されます。一方、熊本県では、年内に収穫して、「pプラス」という専用の袋に入れて貯蔵し、愛媛県より少し早めに、出荷が始まります。また、鹿児島県特産の不知火の派生品種・大将季(だいまさき)の場合、熟すのが早く、年内に出回り始めます。

貯蔵しておき、選別しながら袋から取り出す作業です

このように、産地によって様々ですが、伊豫果園さんでは、1/20頃まで木にならせてから収穫するそうです。ここでほとんど収穫してしまうのですが、さらに木にならせておき、春に完熟の状態で収穫する「木熟」の不知火もあるそうで、こちらは素の状態で酸が抜けており、まろやかな濃い甘みを楽しめるとのことです。

少し話が逸れましたが、具体的な作業の様子を見てみましょう。

収穫済みの不知火を袋から取り出し、デコから伸びる枝をデコの内側に収まるように短くカットします。

この作業では、果実を枝から切り離す専用の「採果バサミ」と呼ばれる収穫バサミを使います。
採果バサミは、通常の収穫バサミに比べ、果実に傷をつけないよう刃先が丸く反っており、果実を傷つけにくいように加工されています。
特に、デコポン専用のものは、「デコちょんバサミ」というお茶目なお名前がついているそうです。

ハサミの比較
貯蔵中に、傷みや虫が発生しやすい

あたたかくなると貯蔵庫内でどうしても腐敗が発生してしまいますが、「サンテ」での貯蔵により、腐敗の侵延対策できます。

ご紹介遅れましたが、「サンテ」とは、果実につける薄手の布製の袋です。果実が木になっている段階でとりつけ、そのまま収穫し、(貯蔵して)出荷されます。

サンテにも色々な種類がありますが、色に注目すると、主に白・黒・ピンクの3色があります。それぞれの色に主な対象品種があり、目的が異なります。
白色は主に寒さや鳥から果実を守るスタンダードなもので、黒色は日焼け防止や品種特有の着色を助けるために用いられます。ピンク色はとても鮮やかで、視認性が高いため、広い園地での収穫時の取り残しを防ぐという実用的なメリットもあります。具体的には、不知火だと白、ブラッドオレンジだと黒、甘平やせとかだとピンク、のように使い分けられるそうです。

腐ったみかん。でも、サンテがあれば、拡がらない!

閑話休題、気になる不知火のお話をいくつか。

①美味しい不知火の見分け方

「橙色が濃」く、「軸(枝と果実の接続部)の断面積が細い」ものがおすすめです。

よく「デコが出ているものの方が美味しいですか?」と聞かれますが、デコの出具合は味には関係ありません。

ヘタ側のデコに限らず、表面がすごくボコボコしていて菊状になっているものも美味しいとされています。「菊みかん」は、温州みかんにも見られますが、水分ストレスがかかることによってでき、糖度が高くなる傾向にあります。しかし、同時に、酸も高めなことも多いので、貯蔵によって、まろやかで濃厚な味わいが楽しめるようになるでしょう。

②デコの秘密

前項で、デコの出具合は味に関係ないと言いましたが、そもそもどうしてデコが出るのでしょうか?「不知火の品種特性」というのがその答えですが、かつては異常とされ、全て廃棄されていたそうです。

品種としてデコが出るとはいえ、各個体で出方は様々です。総じて、気温の日較差が大きいほど凸が出やすく、露地栽培とハウス栽培だと、ハウスの方が出やすいそうです。同じ農園内でも温度差があり、また、1本の木の中でも、枝の強さによって、凸の出方が変わってくるそうです。

せとかや甘平、愛媛果試第28号/紅まどんな(以下、紅まどんなと呼びます)も、稀にデコが出ているものを時々見かけますが、同様の理由でデコが出るそうです。紅まどんなは特に、ブランド認定の基準にも影響するので、日中は開けて夜は閉めるなど、ハウスの温度管理が重要だそうです。

面白い方向に突出しちゃった子も。ゾウさんみたいで可愛い。

不知火は、1972年交雑で、比較的古くからある品種です。ただ、予措の手間やその過程・出荷後も腐敗しやすく、利益率があまり高くなく、近年、どんどん改植(他の品種への植え替え)が進んでいるそうです…。

リモネンが弾けて甘酸っぱい香りとお味、そして、少しビターな香りと共に口内にコクが懐かしく残り続ける「不知火」は、個人的にも馴染み深いですし、後世にも引き継いでいきたい品種です。

選果後にいただいた不知火。甘味も酸味も、疲れに心地よく沁る。

午後に行ったのは、紅まどんなの木の「剪定」作業です。

「剪定」とは、樹勢をコントロールするために、枝を落とす作業ですが、お歳暮にも多用され、全国的に知名度も上がってきた、私も大好きな高級品種・紅まどんなの枝を切るなんてドキドキです。

「剪定」はみかん作りで1番難しいとされていて、農家さんの腕の見せどころとなっているそうです。この剪定こそが翌年の実りの良し悪しを左右する生命線です。

作業の目的は、木の内部まで日光が届くように光の道を作って成長を促すこと、風通しを良くして病害虫を防ぐことにあります。また、枝の数を適切に調整することで、毎年安定した品質のみかんを育てるためのコントロールも兼ねています。

冒頭で述べた通り、営農指導員としての経験もお持ちの武智さんは、切るべき枝を的確に見定め、鮮やかに剪定していきます。

剪定のポイントをたくさん教えていただきましたが、いくつかピックアップすると、

・切る対象は、主に「重なって影を作っている枝」や「白い筋が入っている枝」や「暴れている木の枝」。
・主枝は、3本残して形成する。3本が、収量と採光・風通しのバランス的にベスト。
・切る時は、切り口はできるだけ小さくなるように生え際のギリギリで。中途半端に残すと新芽が出てきて、後の手入れが厄介。
・柑橘は、春芽、梅雨芽、夏芽(+夏芽)、秋芽の4-5回出て、このコントロールが重要で、次に出る芽を見据えながら時期に応じて剪定する。

などがあります。

教えていただきながら、剪定に挑戦

実際にハサミを手に取ってみると、どの枝を残し、どの枝を落とすべきかの判断は非常に難しく、迷いました。
私たちが思う以上にバッサリと切っていきますが、みきが見えるほどまで切ってしまうと、切りすぎになるようで加減が難しいです。
ですが、武智さんの指導のもと、伸びすぎた強い枝や内側に混み合った枝を丁寧に取り除いていくと、それまで重なり合っていた葉の隙間から木の内側へと光が差し込み、木全体がみるみるうちにすっきりと健やかな姿へと変わっていきました。

ただ実を採るだけでなく、木の一生や次世代の収穫を見据えてハサミを入れる剪定作業を通じて、美味しいみかんの裏側にある「育てる技術」の奥深さを肌で感じる貴重な体験となりました。

主な農作業体験は以上となりますが、この他にも武智さんの倉庫や畑をじっくりと見学させていただきました。

今回「みかん愛好会」として訪問し、柑橘の農作業を中心にレポートしてきましたが、伊豫果園さんでは10種類ほどの柑橘に加え、キウイやブドウなど多種多様な作物を育ててらっしゃいます。柑橘のスペシャリストでありながら、いい意味でそれだけに固執せず、幅広い作物を通じて農業の可能性を追求されている姿勢が非常に印象的でした。

カラマンダリン。上に張ってあるのは防鳥ネット。
伊予市を一望できるブドウ畑

もちろん、多角的に展開されているからこそ、剪定、摘果、施肥、収穫といった作業が一年中途切れることはありません。病害虫の発生や天候不順、鳥獣被害など、農業が直面する厳しさも決して看過できず、苦労は計りしれませんが、それでも武智さんは「農業は自分が頑張れば頑張った分だけ返ってくるところに、魅力と面白さがある」と満面の笑顔で語ってくださいました。

愛媛の特産品である柑橘生産を軸に据えつつ、多様な挑戦を通じて地域貢献を肌で実感できる。そんな武智さんの生き方そのものが、大きなやりがいに満ちているのだと感じました。

また、武智さんは、2年目の新たな試みとして、柑橘のジュース加工やブドウ狩りの開催など、栽培の枠を超えた加工・販売、観光業にも力を入れており、その勢いに圧倒されました。加えて、柑橘の木の「オーナー制度」の導入や、伊予市を一望できる丘でのブドウ狩り設置という夢など、現在進行形で未来に向けて着実に歩まれています。

ますます、伊豫果園さんの今後が楽しみです。

(取材:こんぽの)


みなさん、いかがでしたか?
最後は「~⑤伊予市出身の東大生が伝えたい「伊予」の魅力編~」をお届けします!
お楽しみに!

東大みかん愛好会

国内のみかんの消費量を増やそうと、2013年に発足。
関東を中心に学生約300人が所属している。
かんきつの魅力を発信する活動に取り組むほか、産地を訪問して生産工程を学んだり、収穫作業を手伝ったりしている。

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いーよ

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