東大みかん愛好会がゆく ~②紅プリンセスのおいしさの秘密~
2026.05.01

「みかんをこよなく愛する」東京大学などの学生で結成された「東大みかん愛好会」。
およそ300人の学生が所属し、首都圏を中心に日々活動しています。
3月、「かんきつ王国」愛媛で、生産への理解を深める春の合宿を行い、伊予市内で収穫体験を行いました!
参加した4人の学生が、伊予市で感じたことを記事にしてくれましたので、ご紹介します!
2回目は「~紅プリンセスのおいしさの秘密~」(取材:大和田)です!
清野さんの農園へ
東大みかん愛好会の伊予市産地訪問で、私たちのグループは清野さんの農園を訪問させていただきました。
清野さんは、甘平、せとか、キウイフルーツ、紅プリンセス(愛果48号)などを栽培されています。
「ジャイアンツファン」「クマに似てる」「やさしい」という事前情報はいただいていたものの、「どんな方なんだろう」と少し緊張しながらハウスに入ると、突然「ウェルカム柑橘!」とみかんをひと切れ手渡されました。
何の品種か分からないまま食べてみると、プルプルとした果肉から濃厚な甘みの果汁があふれて、とってもおいしい!
それこそが、清野さんが栽培されている紅プリンセスだったのです。
紅プリンセスは愛媛県で誕生したオリジナル品種で、甘平と紅まどんなを親に持つ、柑橘界のサラブレッド。愛好会で噂を聞いて以来、ずっと食べてみたかった憧れのみかんです。
この日初めて味わい、すぐに私の「推し柑橘」になりました。
清野さんご自身も、みかんの中では紅プリンセスがいちばん好きなのだとか。「他の柑橘よりも、一段上のおいしさ」と教えてくださいました。

紅プリンセスの収穫体験
訪問では、なんと、そんな紅プリンセスの収穫体験をさせていただきました。私は以前、温州みかんやせとか、甘平の収穫をしたことがあるのですが、紅プリンセスの収穫方法はそれとは少し違います。紅プリンセスは外果皮が薄く、とてもデリケート。そのため、その名の通り、お姫様のように扱わないとすぐに傷ついてしまうのです。
まず、ヘタの少し上にハサミを入れ、そのあとヘタすれすれでカットする「二度切り」で収穫します。これは、尖ったヘタの先で他の実を傷つけないためです。
さらに、収穫した実はやわらかいスポンジを敷いたカゴの中に、一つ一つ置くように入れていきます。コンテナに移すときも、衝撃を与えないようそっと手を添えます。
温州みかんの収穫ではコンテナに投げ入れていたので、紅プリンセスの繊細さに驚きました。

最初は二度切りが難しく時間がかかりましたが、だんだん慣れてスピードも上がっていきました。それでも木の上の方や内側の実を取るのは大変で、終わる頃には筋肉痛になってしまいました。
収穫のあいだは作業に集中して、会話が途切れることもありましたが、清野さんが私たちが楽しめるようにと気づかってくださり、終始和やかな雰囲気でした。
愛好会のメンバーだけでなく、地元の大学生の方や地域おこし協力隊の方とも、おやつ休憩をはさみながらたくさんお話をしました。おすすめの愛媛グルメを教えていただいたり、好きなうどんの話をしたり。
たくさんの紅プリンセスに囲まれて、とても楽しい時間でした。


紅プリンセスの目利きと栽培の工夫
清野さんは優しい笑顔が印象的な、穏やかで温かい方でした。栽培方法や品種についてなど、さまざまな質問にも丁寧に答えてくださいました。後の意見交流会では、「いろいろ質問してもらえて嬉しかった」とおっしゃってくださり、こちらもとても嬉しくなりました。
質問したことの一つは、紅プリンセスの目利きの方法です。
色が濃く、ヘタは黄色みがあり軸が細く、やや小ぶりでしずく型のものが味が良いのだそうです。中晩柑は大きいほうがおいしいイメージがあったので、少し意外でした。それぞれの柑橘には、それぞれ適したサイズがあるのですね。
紅プリンセスの収穫が早めに終わったので、その後は園地も案内していただきました。紅プリンセスは一度に多量の水を与えると裂果してしまうため、ハウスの中に敷かれたパイプと自動化された機械で、少しずつ水を与えているそうです。しかも、その機械は清野さんご自身で設置されたのだとか。
私が産地訪問中に見ただけでも、水やり、肥料、剪定、日焼け防止のネットかけ、農薬散布、収穫、選果、ハウスの修繕など、本当にたくさんの仕事があるのだと分かりました。

農家という選択
清野さんは、もともと運送業の事務をされていましたが、会社を辞めて就農されたそうです。ご実家がみかん農家だったこともあり、将来に悩んだときに農家になる道を選ばれたのだとか。
「農家になって良かったと思いますか?」と尋ねてみると、「良かったと思いますね」と笑顔で答えてくださいました。理由を伺うと、努力が成果に現れる農業に魅力を感じたとのこと。さらに、「平日に遊びに行けるのがうれしいんですよ」と教えてくださいました。
農業にはきっと大変なことも多いはずですが、迷いなくそうおっしゃる姿がとても印象に残りました。
清野さんが大切に育てている紅プリンセスは、単なる「推し柑橘」を飛び越えて、私にとってますます特別な柑橘になりそうです。

(取材:大和田)
みなさん、いかがでしたか?
次回は「~③初めての伊予市で見つけた魅力編~」をお届けします!
お楽しみに!
東大みかん愛好会
国内のみかんの消費量を増やそうと、2013年に発足。
関東を中心に学生約300人が所属している。
かんきつの魅力を発信する活動に取り組むほか、産地を訪問して生産工程を学んだり、収穫作業を手伝ったりしている。




