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「一人じゃないよ」子どもと保護者に寄り添う、伊予市の小さな居場所

2026.01.14

「一人じゃないよ」子どもと保護者に寄り添う、伊予市の小さな居場所

PROFILE

太田 聡美(おおた・さとみ)

松山市出身。「poco pono COCO」代表。不登校の子どもたちとその保護者に寄り添う活動、居場所づくりや保護者のつながりづくり、不登校への理解を広げる取り組みを行う。

2026年春頃にNPO法人設立予定。

伊予市山あいの古民家でひらかれる「トーキョーコーヒー」とは?

伊予市中山町。
畑のそばを川が流れる山あいの古民家で、毎週月曜日になると「トーキョーコーヒー伊予」がひらかれています。

ここは、学校に行っていない子どもや保護者、地域の大人たちが集える居場所。決まった過ごし方はなく、ゲームをしたり、絵を描いたり、ただ話をしたり。自由に過ごせる時間が流れています。

この場所を運営しているのが、「poco pono COCO」代表の太田聡美さん。 太田さんは2023年、祖母との同居をきっかけに、母とともに伊予市へ移住しました。

「松山や福岡で暮らしてきましたが、伊予市は人混みがなくて、空を見上げると星が見える。その開放感が心地いいなと思っています」

移住をきっかけに立ち上げたのが、不登校の子どもと保護者に寄り添う団体「poco pono COCO」。当初はZoomでのオンライン相談を行っていましたが、次第に限界を感じるようになったと言います。

「子どもが不登校になると、親も一緒にすごく孤独になるんですよね。画面越しで話すだけでは、その孤独は埋まらないなと感じました」

太田さんが必要だと感じたのは、“相談する場”だけではなく、“一緒にいられるリアルな場”でした。

↑ 子どもたちと海での活動

「何かしてあげるよ、とか、変えてあげるよ、じゃなくて。ただ『一人じゃないよ』って伝えられる場所があればいいなと思ったんです」そうして、自宅でもある古民家を開放し、「トーキョーコーヒー伊予」をスタートさせました。

↑ 子どもたちと季節の遊びを楽しむことも

「トーキョーコーヒー」は、不登校の子どもたちの居場所づくりを目的に、全国に400か所以上に広がる取り組みで、伊予市の拠点もその一つ。

現在、松山や砥部、久万高原など、さまざまな地域から人が訪れ、多い日には10人以上が集まると言います。「学校に行っていなくても、集える場所」として伊予市の山あいに、「トーキョーコーヒー伊予」はあります。

poco pono COCOが目指す先

poco pono COCOが掲げているミッションは、とてもシンプル。それは、「不登校に悩む保護者の孤立を0にする」ことです。

太田さんがこのミッションを大切にしている背景には、自身の経験があります。

「子どもももちろんしんどいけど、親の方も悩んでしまうことって多いと思うんです。
 どうして学校に行けないんだろうって、自分を責めたり、子どもを責めてしまったり」

↑ 不登校への理解を広げるためのセミナーの様子

太田さん自身、中学生の頃に不登校を経験。当時を振り返ると、自分もしんどかったけど、自分と同時に「しんどそうだった母の姿」が、今も強く心に残っているといいます。

「大人になって思うのは、子どもの支援は少しずつ増えてきたけど、保護者を支える場所はまだまだ少ないということです。だから、まずは保護者が一人じゃなくなることが大事だと思いました」

poco pono COCOの活動は、大きく三つに分かれています。
一つ目は、「トーキョーコーヒー伊予」をはじめとした居場所づくり。
二つ目は、県内5か所で開催している「歩登幸(ふとうこう)カフェ」などの、保護者同士のつながりづくり。
そして三つ目が、不登校への理解を広げるための地域向け・支援者向けセミナー。

「私が何かをして誰かを助ける、というより、保護者同士がつながって、悩みが少し軽くなる。その“場”をつくれていることが大きいと思っています」

現在は、LINEのオープンチャットを活用した情報共有や、県内の支援団体をまとめた冊子づくりなど、つながりを広げる取り組みも進めています。

↑ 不登校理解に向けた講演を行う太田さん

さらに太田さんは、その先の未来も見据えています。古民家の隣にある倉庫を活用した、
 ・フリースクール
 ・食堂
 ・レスパイト機能を備えた宿泊施設

など、新たな居場所づくりを構想中。「特にフリースクールは、地域課題と一緒に考えたいと思っています。人手不足や高齢化が進む地域と、不登校の子どもたちが出会える場所にしたいんです」

不登校の子どもたちがいずれ直面する「就労」という壁。太田さんは、その手前で「人の役に立つ経験」を重ねることが大切だと話します。

「地域の人の役に立つことが、働くことにつながっていく。生きること、働くことまで、自然につながっていく場所をつくれたらいいなって」

まだ「夢の段階」だと太田さんは笑いますが、それでもひとつひとつの活動は、すでに伊予市の山あいで静かに根を張り始めているようです。

温かく活動を見守ってくれる場所

松山市で生まれ育ち、福岡で働いたのち、伊予市へ孫ターンをした太田さんにとって、伊予市は「人との距離は近いながらも、活動を見守ってくれる温かい地域」だといいます。

山あいの静けさ、満天の星、川のせせらぎ。人混みのない暮らしが、日々の生活に余白をつくっているようです。

活動を通して、太田さんが一番伝えたいのは、シンプルな言葉。

「『一人じゃない』、っていうことを伝えたいです。助けてって言うのは、すごく難しいから。でも、同じように悩んでいる人は、たくさんいるんですよね」

2023年に活動をスタートさせた太田さん。活動をスタートさせて3年弱ですが、太田さんのもとには、「保護者が笑顔でいられること。子どもたちが幸せであること」という想いに共感した仲間がたくさん集まっています。

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いーよ

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