子どもたちに誇れるふるさとを。下灘・双海のまちづくり✨― 冨田さんが語る、双海・下灘での挑戦とこれから ―
2025.09.17

PROFILE
冨田 敏(とみた さとし)
東京都出身。広告会社に20年以上勤務した後、東日本大震災を機に、ひとり娘を育てる環境を考え、地域おこし協力隊として伊予市に移住。
下灘駅のブランディングに携わるほか、地域住民による学びの場「まちづくり学校 双海人(ふたみんちゅ)」での活動をきっかけに、民間による移住定住を推進。現在は伊予市移住サポートセンター「いよりん」の運営をはじめ、JICA海外協力隊グローカルプログラムやふるさとワーキングホリデーの受け入れも行っている。
双海地区では 「満天の星空🌌」 が一番のおすすめ。
🚉 しもなだ有名大作戦、無人駅をひとが集まる場所に

2011年、地域おこし協力隊として赴任した冨田さんの活動ミッションは、下灘地区の活性化でした。とはいえ、「地域活性化など考えたこともなく、何から手をつけたら良いかわからなかった」という冨田さん。まず、下灘地区のおよそ600世帯を戸別訪問し、一人ひとりの困りごとを聞いてまわりました。
ところが、地域の方々は不便さも含めて心豊かに暮らしていることに気づきます。「足りないものや、支援が必要なことは多い。でもそれは僕の役割ではない。僕は自分の得意なことで地域を盛り上げよう」。そう考えた冨田さんが最初に注目したのが、鉄道ファンの間では知られていた JR下灘駅 でした。
冨田さんが着任した当時、下灘駅は「誰もいない」「何もない」無人駅でした。しかし、よく見ると駅舎には花が生けられ、構内にはプランターが置かれています。これは、ときどき訪れる鉄道ファンのためにと、近所の高齢者たちが「ようおいでた」と、おもてなしの心で駅を美しく保とうとしていたのです。
誰にも褒められることもないこの細やかな気配りに、冨田さんは心を打たれます。
「この取り組みを多くの人に知ってもらい、駅をみんなでおもてなしする場にしよう」。そう考えた冨田さんは、手当たり次第に紹介文を送り続けました。
その中には、ある大手旅行会社の交流文化賞も含まれており、受賞によって得た賞金50万円は、駅の環境美化活動の貴重な資金源となりました。
同時に、この素晴らしい景観を世に広めるには、その美しさを切り取った写真が必要だと考えた冨田さん。しかし、自分で撮ってみてもどうも今ひとつ。そこで開催したのが 「しもなだ駅フォトコンテスト📸」 でした。
狙い通り、コンテストにはセミプロ級の作品が集まります。続いて冨田さんは、応募者の承諾を得てそれらの写真に解説を添えて・・・。この後の取り組みは企業秘密(笑)とのことですが、広告会社での経験も活かした手法で、下灘駅は数年で、今でいう 大バズリ🔥 をしました。

冨田さんはこの一連の取り組みを「しもなだ有名大作戦」と呼びます。「仕掛け人」として知られるようになった冨田さんですが、その根底にはこんな思いがありました。
「子どもたちに、誇れるふるさとを残したい。下灘駅を『自慢できる場所』にすることで、地元へのアイデンティティ=プライドが育まれるはずだ」 と。
🌱これからも、“このまちで暮らす人”を支えていく

現在の冨田さんが力を入れているのは、移住と起業について。
「田舎での起業は、実はハードルが低く、挑戦しやすい。マーケットは小さくても、応援してくれる人も多く起業しやすい環境だと思います」。
「下灘駅を有名にしたかったのは、ただ観光客を呼ぶためだけではなく、子どもたちにこのまちに誇りを持ってほしかったから」──冨田さんの挑戦は、駅の知名度アップにとどまらず、地域に生きる人の心に灯をともしています✨。

移住に関する相談
「いよりん」では、本市の暮らしの情報を集約し、相談者にワンストップで提供しています。
移住を検討されている方や少しでも興味をお持ちの方はお気軽にお問合せください。
愛媛県伊予市移住サポートセンター「いよりん」
〒799-3114 愛媛県伊予市灘町123
まちの縁側『ミュゼ灘屋』内
JR伊予市駅・伊予鉄郡中港駅より徒歩3分
サポートする地域団体のご紹介
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伊予市中山町 佐礼谷地区
昭和の風景が残る山間集落
松山市(県庁所在地)や空港からのアクセスがよい当地区は、田園風景や古い農業倉庫など懐かしい風景が残る集落。中山栗や佐礼谷ゆずこしょうなど特産品も多く、就農目的やIターンのファミリーや、定年退職者などが移住しています。移住体験施設の開設も計画中です。
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伊予市 郡中地区
歩いて暮らせる郡中まち暮らし
生活施設が集中し車がなくても安心して暮らせる中心市街地でありながら、海・山・里の新鮮な食材と豊かな自然環境が揃っています。市の第3セクターである「まちづくり郡中」では、移住を希望される方に、まち案内や住宅見学などを行っています。
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伊予市双海町 双海地区
愛媛県内最古の木造校舎で学ぶ
瀬戸内海と豊かな里山が背中合わせになり、傾斜地を利用して柑橘をはじめ多くの果実が生産されている地域です。まちづくり学校 双海人(ふたみんちゅ)では、児童数の減少に危機感を抱き「学校を守れ」を合言葉に移住の受け入れを行っています。